未来づくりロボットWeek 2025が開幕 ロボットと共創する社会の未来像示す
未来づくりロボットWeek 2025が開幕 ロボットと共創する社会の未来像示す
【大阪=2025年7月13日】ロボット産業の最新動向と未来社会における共創のあり方を提示する展示会「未来づくりロボットWeek 2025」が13日、大阪・関西万博会場のEXPOメッセ「WASSE」で開幕した。主催は経済産業省、World Robot Summit(WRS)実行委員会、日本ロボット工業会、日刊工業新聞社などで、会期は7月19日までの7日間。産業・サービス・生活の各分野におけるロボット活用の最前線が披露される中、国内外の企業・大学・研究機関が多数参加し、会場は初日から多くの来場者で賑わった。
今回の展示会では、「ロボットとつくる共創社会」をテーマに、働き方・技能・共生を主軸にした三つのゾーンで構成されている。産業用ロボットの実演だけでなく、協働ロボットやパーソナルロボットの活用事例も取り上げられ、来場者は体験を通じて技術の現在地と未来像に触れることができる。
働き方ゾーンでは、従来のロボットアームを超えて人と並んで作業する協働ロボットの技術進展が目立った。ファナック、川崎重工業、安川電機などの大手ロボットメーカーが、柔軟な動作制御やセーフティ機構を備えた最新機種を展示。製造現場での省人化だけでなく、中小企業での導入可能性についても議論が交わされた。
技能ゾーンでは、ロボットの知覚や判断能力を中心に、AIや機械学習を活用した自律制御の事例が披露された。エプソンは超小型の高精度マニピュレータを出展し、細かい部品の組立やピッキングのデモを実施。深層学習を活用した画像認識や、視覚と触覚の統合による柔軟なハンドリング技術などが注目を集めた。
共生ゾーンでは、人とロボットがともに生活する社会の実現可能性を探る展示が中心となった。ヒューマノイドロボット「ugo Pro」の実演には多くの来場者が足を止め、遠隔操作と自律移動を併用した作業支援や、音声・顔認識によるパーソナライズ機能の説明に聞き入っていた。介護・見守り・接客など、人手不足が深刻な領域での活躍が期待されている。
また、イベントと並行して実施された「WRS2025 フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ(FCSC)」では、全国の大学から選抜された8チームが参加し、未来のコンビニ像をテーマに競技を行った。出場チームは、商品棚への補充や廃棄処理、接客、移動といった複数の業務を自律型または遠隔操作型ロボットで遂行。東京都立大学の「TMU Mecha Clerk」チームは、自律移動とアバター技術を組み合わせた効率的な業務オペレーションで高い評価を受けた。
こうした競技においては、単なる技術力だけでなく、ユーザーとのインターフェース、現場への実装可能性、エネルギー効率、安全設計といった複合的な要素が問われており、実際の店舗運営やサービス導入への橋渡しとなる場として注目された。
大手コンビニチェーンも、未来の店舗構想を出展。セブン-イレブンは、ANAホールディングスと共同開発した遠隔操作ロボット「newme」を用いた無人接客の実演を行ったほか、水素エネルギー活用機器や床発電技術なども紹介。ローソンはNTTデータと協業した多言語対応アバターによるリモート接客システムを発表し、地方都市や観光地への展開可能性を訴えた。
会場では来場者から「想像していたよりも現実的な技術が多く、数年以内に導入されそうだ」「少子高齢化が進む中で、ロボットの役割は今後ますます重要になる」といった声が多く聞かれた。
また、主催者によれば、今後の社会実装を見据えた実証実験や地域連携事業にもこのイベントを契機として広がりを持たせたいとの意向で、自治体関係者や地方中小企業の参加も目立った。地方創生や医療・介護現場での活用に向け、今後のパートナーシップ形成の起点ともなる。
政府は2026年度を目処にロボット戦略の改定を予定しており、「共生・共創」に軸足を置いた制度設計が進められている。経済産業省担当者は「製造業中心だったロボット技術を、今後は地域社会や生活空間へと広げていく必要がある」と述べた。
展示会は19日まで開催され、一般来場者も体験可能なワークショップやセミナー、企業プレゼンテーションなどが連日行われている。
