世界との競争と標準づくりの主導権争い
ロボット産業がグローバルで加速するなか、日本は技術だけでなく、国際的な「ルール作り」の分野でも影響力を強めようとしている。いまや単なる製品開発だけでなく、国際基準に自国の技術思想を反映させることが、国際市場での優位性確保に直結する時代となった。
たとえば、2025年春には国際標準化機構(ISO)のロボット技術委員会「ISO/TC299」の作業部会(WG)が東京で開催され、世界各国の専門家が日本に集結。議題となったのは、産業用ロボットやサービスロボットに関する安全規格、操作性、AI活用における倫理指針など多岐にわたる。これらの議論において、日本はこれまでに培った高度な現場ノウハウと、実装性の高い提案をもとに、議論の中心的な役割を担っている。
特に、サービスロボット分野の国際基準作りでは、日本の介護・医療・小売といった現場実装経験が注目されている。たとえば自律移動型ロボットの人間との接触安全基準、複雑な操作を必要としないUI設計、メンテナンスの容易さなど、現実の社会実装から得た知見は他国にとっても参考になる部分が多い。
一方、欧州や中国、韓国といった競合国も、独自の技術思想や規格を国際標準として定着させようと積極的に動いており、標準化を巡る「静かな主導権争い」が続いている。日本にとっても、単に製品を輸出するだけではなく、国際規格の段階から関与することで、自国製品が“世界で通用する条件”を整備する戦略的意義は非常に大きい。
さらに、日本政府やロボット関連団体も、企業単位では難しい国際交渉や多国間調整をサポートしており、こうした民官連携の仕組みも整ってきている。これにより、中小企業やスタートアップであっても、標準化の議論に参加できる機会が徐々に広がっているのも特筆すべき点だ。
このように、日本のロボット産業がグローバル市場で存在感を維持・拡大していくには、技術革新と並行して、国際的なルールメイキングの場でも積極的に声を上げていくことが不可欠だ。いまや“技術で勝つ”だけでは足りず、“ルールでも勝つ”戦略が求められている。
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